2009年4月17日(金) 放課後
ルーアンに来て、ノートルダム大聖堂を見ずには帰れません。
ルーアン大聖堂への行き方、見どころをお伝えします。
目次
Cathédrale Notre-Dame de Rouen (ルーアン ノートルダム大聖堂)
ルーアンの大聖堂は、時代とともに移り変わったゴシック芸術を辿ることができる様々な要素からなる建築物です。
現在、ノートルダム大聖堂があるその場所に、以前ロマネスク大聖堂が存在していました。
そのロマネスク大聖堂の地下礼拝堂だけが現存しています。
ロマネスクとゴシック
【ロマネスク】
10世紀末から12世紀にかけて西ヨーロッパ (フランス、スペイン北部、ドイツ、イギリス、イタリア)に広まった中世の建築、彫刻、絵画、装飾、文学の様式の1つ。
ロマネスク建築は修道院の建築様式として発達したものです。
特徴は厚い壁、小さな窓と円形アーチ。
◇フランスにある有名なロマネスク様式建築
・ル・トロネ修道院 (プロヴァンス地方)
WEB ル・トロネ修道院
・クリュニー修道院 (ブルゴーニュ地方)
WEB クリュニー修道院
・サント=マドレーヌ大聖堂 (ヴェズレー,ブルゴーニュ地方)
WEB サント=マドレーヌ大聖堂
・サン・フィリベール教会(トゥールニュ,ブルゴーニュ地方)
WEB なし
【ゴシック】
12世紀なかばから北西ヨーロッパ (イギリス、ドイツなど)を中心に広まり、15世紀まで続いた建築様式を言います。
特徴は先の尖ったアーチ (尖頭(せんとう)アーチ) 、建物の壁に設けられた大きな窓(堂内に大量の光を取り入れる)、外壁からせり出した建物を支えるための梁 (建物上部からの重さを支えるもの) など。
また、大きな窓にステンドグラスを設け聖書の話を絵にすることで、文字が読めない人にも聖書の内容を分かり易く伝えることが可能になったのです。
◇フランスにある有名なゴシック様式建築
・サン=ドニ大聖堂(パリ)
WEB サン=ドニ大聖堂
・ノートルダム大聖堂(パリ)
WEB ノートルダム大聖堂(パリ)
・ノートルダム大聖堂(シャルトル)
WEB ノートルダム大聖堂(シャルトル)
・ノートルダム大聖堂(ランス)
WEB ノートルダム大聖堂(ランス)
・ノートルダム大聖堂(ストラスブール)
ルーアン ノートルダム大聖堂は1145年にサンロマン塔 (西側正面に向かって左側)の建設から始まりました。
1170年頃にはファサード(建物正面)の建設が始まり、1185年~1247年頃に聖堂内の建設が続き、16世紀までに様々な建築が段階的に行われました。
ルーアン大聖堂(左下)とセーヌ川を望む 絵葉書より
Cathédrale Notre-Dame de Rouen (ルーアン大聖堂) WEBサイト
Gare de Rouen-Rive-Droite (ルーアン-リヴ-ドロワ駅) からルーアン大聖堂への行き方
パリ サン-ラザール駅からCORAIL INTERCITES (コライユ・アンテルシテ ) に乗りルーアン-リヴ-ドロワ駅で降ります。
所要時間は約1時間。
駅を出たら、セーヌ川へ向かっているジャンヌ・ダルク通りを歩きます。
行きは下り坂、帰りは上り坂です。(汗)
左側にTribunal de Grande Instance (地方裁判所)が見えたら、その先2つ目のグロ・オルロージュ通りを左折。
グロ・オルロージュ通りにあるLe Gros-Horloge(大時計台)を潜り歩いて行くと、突き当りはルーアン大聖堂西側広場。
ジャンヌ・ダルク通りは坂道なので、徒歩ではキツイわ~という時は交通機関を利用しましょう。
交通機関を使った場合の最寄り駅
- トラム 1, 2, 3号線 THÉÂTRE DES ARTS (テアトル・デ・ザー ) 駅
- バス8番 PALAIS DE JUSTICE (パレ・ドゥ・ジュスティス ) 駅
- メトロ PALAIS DE JUSTICE (パレ・ドゥ・ジュスティス ) 駅
- レンタル自転車 PLACE DU VIEUX MARCHÉ (プラス・ドュ・ヴィユ・マルシェ )
グロ・オルロージュ通りにあるLe Gros-Horloge(大時計台)の向こうにルーアン大聖堂が見えます。
Googleマップにルートを載せてみました。
2009/4/Cathédrale Notre-Dame de Rouen の左側にある矢印→付アイコンをクリックするとマークが付いている場所名とルートが分かります。
見る人に強い印象を与える魅力的な外観
ルーアンのシンボルとも言える ルーアン ノートルダム大聖堂は、街のどこから見てもその存在感に圧倒されます。
セーヌ川を挟んで反対側(左岸)から見える大聖堂
フランボワイヤン様式の装飾が見事な西側正面
フランボワイヤン様式とは、フランスの後期ゴシック建築の特徴的なの様式のことを言います。
フラボアイヤン(flamboyant)とは、“炎のような” の意味。窓上部の装飾的に発達した仕切りの骨組みの狭間(はざま)飾が、炎を思わせるような細かな曲線であるところから名づけられました。
窓枠や彫刻等に浮彫(背景素地から浮き上がらせる)の形で刻まれていて、複雑で繊細なものは “石の刺繍” とたとえられることもあります。
ルーアン大聖堂の西側正面は、“石の刺繍” が至るところで見ることができます。
西側正面 扉上部
人物の彫刻は浮彫の技法で彫られています。
ライトアップされた尖塔(せんとう) 絵葉書より
尖塔(せんとう)とは、とがった屋根をもつ塔のことを言います。
19世紀に完成した鋳物(金属を溶かし、型に流し込んで作った)尖塔は地上151mで、フランスの聖堂の塔としては最も高い。
優しい日の光に包まれる大聖堂の内部
聖堂内に入るとゴシック様式の大空間が広がり、想像していた以上の奥行きの長さ、天井の高さに驚きました。
身廊 (入口から主祭壇に向かう中央通路で信者が集まる場所)
今までの人生で感じたことのないスケール感に言葉を失います。
驚きながら振り返ると、大きなパイプオルガンが見えます。
上部のバラ窓 (ステンドグラスで作られた円形の窓) と共に厳かな空気に包まれます。
パイプオルガンの上部にある時計は、元々は外にありました。
フランスの画家クロード・モネの連作「ルーアン大聖堂」で描かれています。
バラ窓のステンドグラスは第二次世界大戦で壊れてしまい、その後、すりガラス (平たいガラスの表面の片側だけに微細な傷をつけたガラス)が設置されました。
ルーアン大聖堂内部 絵葉書より
写真手前から、内陣 (主祭壇を安置するための聖職者専用の空間)、クロッシング (身廊と側廊が交差する部分) 、身廊 (入口から主祭壇に向かう中央通路で信者が集まる場所)
クロッシングにある祭壇
聖堂内の書庫への階段
内陣奥にある聖母マリアに捧げられた礼拝堂
東側から入る優しい日の光で心が洗われます。
聖母マリアの礼拝堂 絵葉書より
見学を終えて
数世紀の歳月を費やし、継ぎ足しながら建設された統一感の無い建物の西側正面は、見れば見るほど惹きつけられるものがあります。
聖堂内の柱のデザインの美しさには「これを人が造ったのか...」と感動。
私が訪れた金曜日の午後5時頃は観光客が大挙しておしかけることがなく、ゆっくり見学ができました。
外観と聖堂内をじっくり見て回ると1時間くらいです。
もし、ルーアンに1日居られるなら、画家クロード・モネのように朝、昼間、日没の時間にファサードを見てみたいものです。