フランス料理のおいしいものは郷土料理にあると言っても過言ではありません。
フランス各地の郷土料理は、その土地の気候風土や国境に接する国々の影響などにより、多様性に富んでいます。
ここでは、フランス本土の各地域圏 (région) (コルシカ島を除く) の郷土料理をご紹介します。
あなたの知っているフランス料理はどこの郷土料理?
さぁ!これから「もうお腹いっぱ~い!フランスうまいもん巡り」の旅に一緒に出かけましょ~
C’est parti !
目次
- 1 フランス地域別の郷土料理
- 1.1 ブルターニュ地域圏 (La Region Bretagne)
- 1.2 ノルマンディー地域圏 (La Normandie)
- 1.3 オー=ド=フランス地域圏 (Les Hauts-de-France)
- 1.4 イル=ド=フランス地域圏 (L’Ile-de-France )
- 1.5 グラン・テスト地域圏 (Le Grand Est)
- 1.6 ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏 (La Bourgogne-Franche-Comte)
- 1.7 サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏 (Le Centre-Val de Loire)
- 1.8 ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏 (La region Pays de la Loire)
- 1.9 ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏 (La Nouvelle-Aquitaine)
- 1.10 オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏 (Auvergne-Rhone-Alpes)
- 1.11 オクシタニー地域圏 (L’Occitanie)
- 1.12 プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏 (Provence-Alpes-Cote d’Azur)
- 2 フランス料理は郷土料理を抜きには語れない!本土の12地域圏別にご紹介|まとめ
フランス地域別の郷土料理
フランス料理に欠かせないのが「チーズとワイン」
フランス各地には個性豊かな名産チーズとワインがあり、それらに合う自慢の郷土料理があります。
チーズ、ワイン、それらに合う料理、この3つが揃っているから郷土料理がおいしいと言われるのです。
ブルターニュ地域圏 (La Region Bretagne)
ブルターニュ地域圏はフランス最大の半島にあり、大西洋に向かって北西方向に突き出しています。
海に囲まれ、港に水揚げされる新鮮な海の幸はブルターニュの食文化の特徴でもあります。
コトリヤード・ブルトン (Cotriade Bretonne)(魚のスープ)
舌平目のムニエル (La sole meuniere Sole Meuniere)
プレ・サレ (潮の香りのする牧草で育った極上の羊) の肩肉ロースト (Epaule dePre-sale Rotie)
そば粉のガレット (Galette de Sarrazin)
小麦粉のクレープ (Crepes de Froment)
クイニー・アマン (Kouign Amann)
ファー・ブルトン (Far Breton)
ノルマンディー地域圏 (La Normandie)
気候が温暖で、自然の景色が美しく、眺めの良い土地柄は、セザンヌやモネなどの印象派の画家たちに愛されました。
りんごの果樹園が多く、りんごの収穫の他にりんごの醸造酒のシードル(cidre)や蒸留酒のカルヴァドス (calvados)が生産されています。
「フランスの農場」と言われるくらいの酪農地帯でもあり、フランス国内の牛肉や牛乳、生クリーム、チーズ、バターなどの酪農製品の約25%が生産されています。
オージュ渓谷風鶏のクリームソース添え (Poulet Vallee d’Auge)
カーン風牛胃の煮込み (Tripes a la Mode de Cean)
ノルマンディ風舌平目のクリーム煮 (Sole Normande)
カマンベール・ド・ノルマンディー (Camembert de Normandie) (カマンベール村産の牛乳から作る白かびタイプのチーズ)
サブレ (Sables)
タルト・ノルマンディー (Tarte Normande)(リンゴのタルト)
ブリオッシュ (Brioche)
オー=ド=フランス地域圏 (Les Hauts-de-France)
フランスの北部、平原が広がり海からの風の影響で一年を通して寒くならない気候のおかげで、アンディーヴ(チコリ)、じゃがいも、甜菜(てんさい)、キャベツなどの野菜や豆類が生産されています。
この地域圏はフランスのぶどう栽培の北限を超えていてワインが生産できないので、代わりにホップや麦を栽培しビールを製造し、日常の飲み物や料理に使われています。
牛肉のビール煮込みカルボナード・フラマンド (Carbonade Flamande)
ムール&フリット (Moules-Frites) (蒸したムール貝のフライドポテト添え)
ピカルディー風フィセル (La Ficelle Picarde)(オーブンで焼く塩味のクレープ)
フラミッシュ・オ・マロワル (Flammiche au Maroilles) (代表的なチーズのマロワルを使ったタルト)
クレーム・シャンティイ (Crème Chantilly) (生クリームと砂糖を泡立て、好みの固さにしたもの)
クラミック (Cramik) (ベルギーおよび北フランスの干しブドウ入りブリオッシュ菓子)
ゴーフル (Gaufres) (バターをたくさん使った発酵生地で作るワッフル)
イル=ド=フランス地域圏 (L’Ile-de-France )
フランスの首都パリがあり、電車に乗って数十分もすれば、パリの近郊には森や田園風景が広がります。
地方色を感じられないパリで、ルイ14世の時代にヴェルサイユ宮殿で開花した宮廷料理が後に大衆化していきます。
このことはこの地域圏の特徴と言えるかもしれません。
クロック・ムッシュー (Le Croque Monsieur)
テリーヌ (Terrine)
オニオンスープ (Soupe à l’Oignon)
ブリー・ド・モー (Brie de Meaux) (モー村産の牛乳から作る白かびタイプのチーズ)
パリ・ブレスト (Paris Brest) (リング状に焼いたシュー生地に、プラリネクリームを詰めたシュー)
グラン・テスト地域圏 (Le Grand Est)
フランスの北東部、国境に接するドイツに影響を受けながら、この地域圏の個性にあふれる郷土料理が育まれました。
フランスのぶどう栽培の最も北になり、日本でもよく知られている「シャンパーニュ(シャンパン)」の産地があります。
キッシュ・ロレーヌ (La Quiche Lorraine)
シュークルット アルザシアン (Choucroute Alsacienne) (乳酸発酵をさせたキャベツをソーセージや肉類と合わせた煮込み)
フラムクーシュ (Flammekueche) (アルザス風のピザ)
フルーツのタルト (Tarte aux Fruits) (今はフランス中で見かけるお菓子だけど、元々はアルザス地方の伝統菓子)
ブレッツェル (Bretzel) (19世紀にドイツから伝えられたパン)
ミラベルのタルト (Tarte aux Mirabelles) (ミラベルはプラムの一種でロレーヌ地方の特産物)
ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏 (La Bourgogne-Franche-Comte)
フランスの東部、スイスとの国境ジュラ山脈一帯には、フランスを代表する熟成ハードチーズ「コンテ」やクリスマスシーズンには欠かせない季節限定チーズ「モン・ドール」が作られています。
ブルゴーニュはボルドーと並ぶフランスの2大ワイン生産地で、ワイン愛好家でも口にすることは難しいと言われている、あのロマネ・コンティはこのブルゴーニュで生まれています。
ブフ・ブルギニョン (Bœuf Bourguignon) (牛肉の赤ワイン煮込みブルゴーニュ風)
フランシュ=コンテ風ポテ (La Potee Franc-Comtoise)
ディジョンのパン・デピス (Pain d’Epices de Dijon) (発酵生地にハチミツ、スパイス、時にはフルーツの砂糖漬けを加えて焼いたお菓子)
ペ・ド・ノンヌ (Pets de Nonne) (シュー生地を油で揚げて砂糖をまぶした揚げパンのようなお菓子)
サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏 (Le Centre-Val de Loire)
フランスのほぼ中央にあり、平坦で広大な土地、温暖な気候、東西を流れるルワール川や狩猟で知られるソローニュの森は、穀物、ぶどう、川魚、ジビエ(野生のイノシシや鹿)やキノコなどの食材に恵まれています。
多くの城が築かれ、宮廷文化が華やかに栄えたこの地域圏では気品があるフランス語が発展し、今現在でも「最も美しいフランス語を話す地域」と言われています。
ブロシェのクネル (Quenelles de Brochet) (ブロシェ(ロワールの魚で川カマスの一種)をすり身にしたクネル(味付けした棒状のすり身))
豚のロースト プルーン煮込み (Noisettes de Porc aux Pruneaux)
リヨン (Rillons) (ラードと白ワインで煮込むフランス版塩味の豚の角煮)
タルトタタン (Tarte Tatin) (アーモンドクリームの入った花びらの形のパイ)
ヌガー・ド・トゥール (Nougat de Tours) (半割りしたリンゴを鍋に詰めて折りパイ生地をのせてオーブンで焼き、ひっくり返したタルト
ピティヴィエ (Le Pithiviers) (アーモンドクリームの入った花びらの形のパイ)
ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏 (La region Pays de la Loire)
ロワール川の下流にあるこの地域圏は、歴史上の背景から西のブルターニュ地域圏、東のサントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏の影響を受け、それは郷土料理にも反映されています。
大西洋に面したゲランド周辺で採れる塩が有名で、この塩はバターやミルク・キャラメルに使われています。
鰻のマトロート (Matelote d’Anguille) (マトロートは、淡水魚をワインで煮る調理法のこと)
ナントの鴨とグリンピースのワイン煮 (Canard Nantais aux Petits Pois)
)
クレメ・ダンジュ (crémet d’Anjou) (フロマージュ・ブラン(牛乳から作るフレッシュチーズ)に泡立てた生クリームと軽いメレンゲを合わせたアンジェのお菓子)
ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏 (La Nouvelle-Aquitaine)
フランスの南西部、西は大西洋、南はピレネー山脈、東を山塊に囲まれた地域圏。
この地域の中心で、中世からワインの生産と貿易で栄えたボルドーはブルゴーニュと並ぶフランスの2大ワイン生産地。
スペインと国境を接するバスクは独自の文化と言語を持ち、料理にも影響を受けています。
牛の牧畜が盛んなシャラントは、乳製品、特にバターの質、量ともにノルマンディと肩を並べるほど。
中でも、エシレ村の「エシレ・バター」は日本でもお馴染みです。
鴨のコンフィ (Confit de canard) (鴨肉を低温のオイルでじっくり煮込んだあとそのまま冷ましてオイルの中で保存した料理)
ボルドー風セップのソテー (Cèpes à la Bordelaise) (松茸くらいの大きさのセップ茸に刻んだパセリ、にんにくを加えて塩、胡椒で味付けしてサッと炒めた料理)
バスク風鶏の煮込み (Poulet Basquaise) (甘めのとうがらし、バスク地方のハム、鶏肉をトマト、にんにく、ハーブと合わせて白ワインを入れた煮込み料理)
カヌレ・ド・ボルドー (Canelés de Bordeaux) (昔ボルドー地方の修道院で作られていた伝統菓子)
ガトー・オ・ノワ (Gâteau aux Noix) (生地にたっぷりの粉末または刻んだクルミが入ったケーキ)
ガトー・バスク (Gâteau Basque) (アーモンド入りのクッキー生地に特産品のひとつのダークチェリーの一種スリーズ・ノワール(Cerise noire)を入れて焼いたケーキ)
オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏 (Auvergne-Rhone-Alpes)
フランスの南東部、スイス、イタリアと国境を接する地域圏。
この地域の中心はフランス第2の都市リヨンで「美食の街」として知られています。
オーヴェルニュは、日本でもお馴染みのミネラルウォーターのヴォルヴィックの湧水地(ゆうすいち)としても有名。
プティ・サレ(塩漬け豚肉)とレンズ豆の煮込み (Le petit sale aux lentilles)
ラクレット (Raclette) (ラクレットチーズの固まりの表面を溶かし茹でたジャガイモやハムなどにかけて食べる)
ガトー・ド・サヴォワ (Gâteau de Savoie) (小麦、卵とコーンスターチから作るシンプルな生地に、レモン風味をつけて山型に入れて焼くケーキ)
ガレット・ペルージェンヌ ( Galette Pérougienne) (ブリオシュ生地を薄く伸ばし砂糖をまぶして焼いたお菓子)
ヌガー・ド・モンテリマール (Nougat de Montélimar) (ハチミツとアーモンドが30%以上入っているヌガー)
オクシタニー地域圏 (L’Occitanie)
フランスの南部、南はスペイン、アンドラ公国と国境を接し、東は地中海に面した地域圏。
この地域の中心はフランス第4の都市トゥールーズ。
ミディ・ピレネーは「フランスの最も美しい村」の認定を受けている数がフランス全土で最多の32ヵ所あります。
この村々を訪ねながら郷土料理を味わう旅が出来るものオクシタニー地域圏ならでは。
ニームからピレネー山脈にかけての地中海に面したラングドック・ルシヨンは、ぶどう栽培の条件に合った気候に恵まれ個性的なワインが生産され、フランス国内生産の40%ほど占めています。
アリゴ (L’aligot) (少量のニンニクで香りづけしたマッシュポテトとチーズを合わせた料理)
カスレ (cassoulet) (肉類と白いんげん豆の煮込み)
ロックフォール (Roquefort) (青カビチーズの大様と称えられフランス最古のチーズといわれています)
ガトー・ア・ラ・ブロッシュ (Gâteau à la Broch) (生地を串に絡めながら焼くツリー型のバームクーヘンのようなケーキ)
ブラ・ド・ヴェニュス (Bras de Vénus) (「ヴィーナスの腕」という意味のロールケーキ)
プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏 (Provence-Alpes-Cote d’Azur)
フランスの南部、南は地中海に面し、東はイタリアと国境を接している地域圏。
この地域圏の調理方法は、バターをほとんど使わずにオリーブオイルを使ったり、パスタをスープに入れたりとイタリア料理に影響を受けているのが特徴です。
ブイヤベース (La bouillabaisse) (地元の魚貝類を香味野菜で香りづけしたスープ)
ラタトゥイユ (La Ratatouille) (夏野菜とハーブをたっぷり使った煮込み料理)
プロヴァンス風野菜の詰め物 (Legumes Farcis à la Provençale) (ナス、ピーマン、ズッキーニ、トマトなどの野菜に肉類を詰めオリーブオイルをかけ焼くかブイヨンで蒸し煮する)
カリソン・デクス (Calissons d’Aix) (オレンジピールとメロンの砂糖漬けとアーモンドを練りこんで焼いた菱形のお菓子)
タルト・トロペジエンヌ (Tarte Tropézienne) (パン生地のブリオッシュにカスタード・クリームを挟んだ丸型のケーキ)
フリュイ・コンフィ (Fruit Confit) (新鮮なフルーツを、温度調整をしながら糖度を少しづつ上げていく糖液につけては乾燥させることを繰り返して作るフルーツの砂糖漬け)
松の実のタルト (Tarte aux Pignons) (アーモンドクリームをタルト生地に流し、たっぷりの松の実をのせて焼いたお菓子)
フランス料理は郷土料理を抜きには語れない!本土の12地域圏別にご紹介|まとめ
フランス本土の各地域圏 (région) (コルシカ島を除く) の郷土料理をご紹介しました。
それぞれの地域でいろいろな郷土料理がありますね。
フランスへ旅行する時には是非食べてみたいものです。
日本でも食べられる料理やお菓子がありますから、まずは日本で試してみましょう。
Bon appétit !